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更新:2012年12月10日(月)

 私たち、福祉・介護に関連する専門職団体、養成教育団体、学会の下記11団体では、この度、現存するすべての国政政党に対して、今後の福祉・介護施策に関する各党の見解(政見)について、2012年11月6日(火)付けで質問状を送付しましたところですが、その後、11月16日に衆議院が解散され、12月16日投開票の総選挙が行われることとなりましたため、この質問状は「12月16日投開票の総選挙を踏まえての回答」としてお願いすることとし、11月20日付けで各党担当者にFAXで送信いたしました。 


質問状を提出した国政政党のあて先

<平成24年11月6日付>
民主党 政策調査会長 細野豪志 様
自由民主党 政務調査会長 甘利明 様
国民の生活が第一 幹事長代行 牧義夫 様(「国民の生活が第一」は、11/28に「日本未来の党」に合流しました。)
国民新党 政務調査会長 浜田和幸 様
公明党 政務調査会長 石井啓一 様
日本共産党 経済・社会保障政策委員会責任者 寺沢亜志也 様
みんなの党 政策調査会長 浅尾慶一郎 様
社会民主党 政策審議会長 阿部知子 様(阿部知子政策審議会長は、11/15に社会民主党を離党したため、11/20に送付先を党首の福島瑞穂様に変更しました。)
新党きづな 政務調査会長 斎藤恭紀 様(「新党きづな」は、11/15に「国民の生活が第一」に合流しました。)
日本維新の会 代表 石原慎太郎 様
新党大地・真民主 幹事長 松木謙公 様(「新党大地・真民主」は、11/28付け、党名が「新党大地」に変わりました。)
たちあがれ日本 幹事長 園田博之 様(「たちあがれ日本」は、11/13「太陽の党」に党名変更し、11/17に日本維新の会に合流しました。)
新党改革 幹事長 荒井広幸 様
新党日本 代表 田中康夫 様
沖縄社会大衆党 委員長 糸数慶子 様
減税日本 幹事長 広沢一郎 様

<平成24年11月19日付>
 みどりの風 共同代表/政策担当 亀井亜紀子 様(「みどりの風」は、会派から11/15に新党設立しました。)

<平成24年11月30日付>
 日本未来の党 代表 嘉田由紀子 様(「日本未来の党」は、11/28に新党設立しました。)


回答受領状況
 ・2012年11月22日:自由民主党より、回答を受領しました。(FAX)

 ・2012年11月25日:みんなの党より、回答を受領しました。(E-mail)
 ・2012年11月26日:民主党より、回答を受領しました。(郵送)
 ・2012年11月26日:新党大地・真民主より、回答(松木けんこう代表代行兼幹事長の個人見解)を受領しました。(FAX)
 ・2012年11月26日:社民党より、回答を受領しました。(E-mail)
 ・2012年11月26日:日本共産党より、回答を受領しました。(E-mail)

 ・2012年12月02日:日本維新の会より、回答を受領しました。(FAX)
 ・2012年12月05日:公明党より、回答を受領しました。(FAX)
  ・2012年12月10日:国民新党より回答を受領しました。

回答結果を公表しました


質問状を連名で発出した11団体

 社団法人 日本社会福祉士会
 社団法人 日本社会福祉士養成校協会
 社団法人 日本介護福祉士会
 社団法人 日本介護福祉士養成施設協会
 社団法人 日本精神保健福祉士協会
 一般社団法人 日本精神保健福祉士養成校協会
 公益社団法人 日本医療社会福祉協会
 特定非営利活動法人 日本ソーシャルワーカー協会
 社団法人 日本社会福祉教育学校連盟
 日本介護福祉学会
 日本地域福祉学会


回答期日:2012年11月26日(月)


質問状の内容

平成24年11月6日・19日・30日

 各 国政政党 あて

社団法人 日本社会福祉士会
社団法人 日本社会福祉士養成校協会
社団法人 日本介護福祉士会
社団法人 日本介護福祉士養成施設協会
社団法人 日本精神保健福祉士協会
一般社団法人 日本精神保健福祉士養成校協会
公益社団法人 日本医療社会福祉協会
特定非営利活動法人 日本ソーシャルワーカー協会
社団法人 日本社会福祉教育学校連盟
日本介護福祉学会
日本地域福祉学会

 

社会福祉政策に関する貴党のご見解(政見)について
<質問への回答のお願い>

 時下 ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素より、我が国の社会福祉施策の充実・発展にご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、社会福祉はすべての国民が幸せを享受するための大きな役割を担っています。その担い手である福祉・介護の国家資格有資格者は、ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)が約21万人、介護福祉士が約109万人、三資格あわせて延べ約130万人にのぼります。(別添の鳥瞰図をご参照ください。)

 ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)は、生活保護受給者や生活困窮者、その他さまざまな生活課題の解決を必要としている人々に対して支援を行い、介護福祉士は、超高齢社会が進行し介護サービスへの需要が年々増大する中、質の高い介護サービスの提供を目指して日々業務にあたっています。

 しかしながら、ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)については、社会福祉制度上の配置等に関する位置づけが極めて曖昧で、国家資格であるにもかかわらず十分に活用されていないこと、介護福祉士については、恒常的に介護人材の確保が困難な状況であるにもかかわらず、介護職に就かない、あるいは離職率が高い状況が続いていることなど、多くの課題があります。これは、福祉・介護専門職の待遇面や非正規雇用などの不安定な就業形態、有資格者の知識・技術が正当に評価されていないことなどに起因するものと思われ、この現状を放置しておくと、今後、福祉・介護ニーズの増大に適切に対応することができなくなり、わが国の社会福祉・社会保障の基盤を揺るがしかねないものと危惧しております。

 国民・社会から求められている福祉・介護ニーズの増大への対応は、まずは福祉・介護専門職が主体となって、わが国の社会保障制度、とりわけ福祉・介護サービスを中心に質的な充実を推進していくべきものと考えていますが、一方で、国家財政が逼迫している状況にあっても、国民が必要としている福祉・介護サービスの質・量を確保していくためには、まさに政治のリーダーシップがなければ、この困難な状況を突破することはできません。

 この度、私たち福祉・介護専門職に関係する11団体では、福祉・介護に関する今後の具体的な方向について各政党のご見解(政見)をお伺いしたく、全ての国政政党に対して質問状を提出し、質問状を提出した事実及びいただいた回答の内容を福祉・介護業界をはじめ、広く周知・共有させて頂くことにいたしました。

 つきましては、貴党におかれましては、同封いたしました社会福祉・介護政策に関する6分野10項目の質問に対し、貴党の政見をご回答いただき、11月26日(月)までに、下記担当事務局まで郵送またはメールでお送りいただきますよう、お願い申し上げます。

 なお、この質問をすべての国政政党に提出した事実については11月6日以後、ご回答いただいた内容原文についてはご回答期日である11月26日以後、私どものホームページや新聞等で公開させていただきます。


■本件に関するお問合せ■
(財)社会福祉研究所気付 公開質問状事務局
〒162-0845 新宿区市谷本村町3-27 ロリエ市谷3F
☎:03-5579-8385  Fax:03-5579-8386 Eメール:scsmm@jewel.ocn.ne.jp

<添付資料:日本における社会福祉専門職・教育・研究・福祉人材確保の鳥瞰図>

 

質問事項
 1.『貧困・生活保護』分野について
 2.『高齢者』分野について
 3.『障がい者』分野について
 4.『保健医療』分野について
 5.『子育て・子ども』分野について
 6.『災害分野』について

1.『貧困・生活保護』分野について

 質問:1

 生活保護制度は最後のセーフティーネットであり、強固な基盤の制度でなければなりません。国家財政事情による財政優先論理や、一部の不正受給事例を根拠に画一的な受給抑制策や財源の削減実施により、生活保護を本当に必要とする人が受給できない制度となってはならないものと考えます。
 生活保護制度やさまざまな社会資源を活用しながら、生活保護受給者や生活困窮者の自立支援を効果的に促していく施策の強化が重要であると考えますが、貴党は財源の確保も含めて、具体的にどのようにお考えですか。

 質問:2

 厚生労働省が検討している「生活支援戦略」において、総合相談機能の重要性や福祉事務所の自立支援機能の強化が大きく取り上げられています。これらの機能を果たすためには、ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の活用・配置が必要と考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 厚生労働省において「生活支援戦略」の計画が進められています。地域で生活する住民にとって、経済的な困窮や社会的な孤立は特別な事態ではなく、自殺、孤独死、孤立死という最悪の悲劇を招かないための抜本的な対策が求められています。国は、この計画の中で『総合相談の重要性』と『福祉事務所機能の強化』を大きく掲げています。

 生活困窮者の実態を調査した結果、経済的な困窮のみならず、精神的な問題、家庭の問題、健康問題などが複合しており、生活困窮者への支援は、高齢者や障がい者、児童、若年失業者など幅広い層を対象に生活を支援することが必要となっています。従って、生活困窮者への支援には個別の専門職や専門機関の他、生活全体を捉え各専門職や専門機関に繋いだり、ケアマネジメントとコーディネートを伴う相談援助が重要であり、そのためには幅広い専門的な知識と技術を有したソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)が生活困窮者と伴走しながら、適切かつ丁寧な支援をしていくことが必要です。

 生活保護受給者数が増大している中、とりわけ稼働年齢層の受給者も増えていることは、厳しい雇用情勢も一因として考えられ、生活困窮者の自立を促していくには、さまざまな社会資源を活用・調整・開発しながら専門的な支援が行えることこそ、生活保護受給者や生活困窮者に対する自立支援施策の強化につながるものであり、社会福祉士・精神保健福祉士がその役割を担うべきものと認識しています。

 しかしながら、社会福祉士や精神保健福祉士が21万人存在する現在においても、昭和25年に創設された社会福祉主事という行政の任用資格が依然として法的に存続し、福祉事務所職員の配置要件となっているように、社会福祉士・精神保健福祉士国家資格がありながら社会福祉主事任用資格が存続しつづけることは、今後の専門性の維持・発展を阻む要因になっています。



 

2.『高齢者』分野について

 質問:3

 現在、介護従事者は全国で約133万人おり、2025年には212~255万人の介護従事者が必要とされています。超高齢社会の進行に伴う介護サービスの供給体制(量)と多様なサービスニーズ(質)に対応していくためには、高い知識と技術を有する介護福祉士有資格者を安定的に養成・確保し、介護職への就労を促進していく必要があると考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。

 質問:4

 恒常的に介護人材の確保が困難な状況の中、介護福祉士のキャリアパスや介護職員の処遇改善に関する施策および必要な財政措置を講ずるなど、介護職に従事するインセンティブが必要であると考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。

 質問:5

 多様化かつ増大する介護サービスへのニーズに対応するためには、介護保険制度下で大きな役割を担う介護老人福祉施設の生活相談員、介護老人保健施設の支援相談員の任用要件を、社会福祉士または精神保健福祉士有資格者に必須化すべきと考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 超高齢社会および人口減少社会への突入や世帯構造の変化、ライフスタイルの多様化等により独り暮らし高齢者や老夫婦世帯の増大などから国民の福祉・介護サービスへのニーズは増大しています。特に認知症高齢者の増大、医療依存度の高い要介護者やターミナルケアの増大など介護ニーズの内容も複雑、多様、高度化しており、安全・安心な福祉・介護サービスの提供が期待できる専門的知識を修得した質の高い福祉・介護専門職が求められています。こうした社会的要請に応えるためには体系化された養成教育の下で専門知識・技術を修得した良質な介護福祉士を安定的に養成確保していく必要があると認識しています。

 新成長戦略の中で介護分野は成長産業として期待されていますが、介護の業務は、業務独占ではないため、①介護福祉士(国家資格保有者)、②ヘルパー資格保有者、③無資格者の3種類の人たちが従事しており、介護職員の賃金水準は他の産業と比較して依然として低い状況であって、介護の現場では介護職員の人材確保が極めて困難な状況となっています。さらに、他職種との連携も一段と重要となり、医師、看護師等の他の専門職とのチームアプローチを推進していく上で、キャリアアップを図ることが重要な課題であると認識しています。

 介護保険サービスを提供するに際し、医療や福祉との連携、介護関連事業所では他職種連携、虐待防止、権利擁護など専門的力量が求められており、サービスマネジメントや利用者に対して適切にサービスを提供していく観点から、社会福祉士または精神保健福祉士有資格者の必置化が必要であると認識しています。



 

3.『障がい者』分野について

 質問:6

 障がい者を地域社会全体で支えていくために、相談支援等を担う中心的な専門職としてソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の配置促進が不可欠であると考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 2013年度から障害者総合支援法が施行され、相談支援体制の充実強化が図られることとなり、既に3年後には全ての障害福祉サービス利用希望者に計画相談支援を策定することとするとなっております。

 第3期障害福祉計画によれば2014年度には計画相談に関する各月平均利用者数が19万人弱と見込まれており、段階的に相談支援従事者の育成を図る必要があります。また、3年後の見直し対象とされている自治体による障害福祉サービスの支給決定のあり方については、ソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士)が障がい者本人のニーズをアセスメントし、より個別的なサービスに結びつける新たな仕組みの導入が必要と考えています。



 

4.『保健医療』分野について

 質問:7

 医療機関からのシームレスな患者の在宅移行を支援するためにも、病院等にソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の十分な量的配備が必要だと考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 我が国は国民皆保険のもと、女性の平均寿命86歳、男性80歳を実現するなど、世界でも類を見ない高水準の医療・介護制度を確立しました。しかし、国民の60%以上が自宅療養を望んでいるにも関わらず、入院医療・施設介護が中心となり、平均入院期間はアメリカの5倍、また自宅で死亡する割合は1950年の80%から2010年に12%まで低下しており、国民の希望に応える療養の場および住み慣れた在宅での看取りができる環境の整備は喫緊の課題であります。

 誰もが、治療や療養において、いつでも個別的な幅広い相談を受けることができる体制整備は急務であり、具体的には、医療・介護の多職種連携のコーディネート力のある保健医療分野のソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)が行う、患者の視点に立った相談体制が必要不可欠と考えます。



 

5.『子育て・子ども』分野について

 質問:8

 現在子どものいじめや虐待は深刻な状況となっており、子どもを地域社会全体で支えていくためには、学校や教育委員会に配置されるスクールソーシャルワーカー、児童相談所の児童福祉司、児童養護施設の児童指導員等に、社会福祉士・精神保健福祉士を専従常勤配置・増員・必置化し、そのための財源を確保する必要があると考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 現在子どものいじめや虐待は深刻な状況となっており、連日のようにいじめや虐待に関する事件が報道されています。文部科学省は本年9月5日、いじめ問題の対応策強化のためのアクションプランを発表し、学校と家庭や地域社会をつなぐことが重要であると指摘しています。

 しかし、例えば文部科学省が予算化しているスクールソーシャルワーカーでは、社会福祉士や精神保健福祉士といった社会福祉専門職がその業務を担っているものの、その多くは著しく不安定な非正規雇用となっており、人材確保に困難をきたしています。また、子どもの虐待問題等に対しても児童相談所、児童養護施設等の児童福祉施設への社会福祉士・精神保健福祉士の専従常勤配置・増員・必置化が欠かせません。


 

6.『災害』分野について

 質問:9

 大規模災害が発生すると、被災地域住民は生活基盤が一瞬にして破壊され、発災直後から長期にわたって生命と生活を維持・立て直していくためにさまざまな支援が必要となります。被災者・避難者への支援を行うには、生活状況や生活課題を的確に判断でき、必要な支援内容やサービスのマネジメントを調整できる専門職の役割が極めて重要であり、今後発生しうる災害に備えていく必要があると認識しております。
  災害が発生した際には、災害被災者及び避難者への生活支援において、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士がその役割を果たすための体制作りとそのための財源の確保が必要であると考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。

 質問:10

 また、災害発生時より福祉・介護専門職を計画的に現地に派遣する制度が必要だと考えますが、貴党は具体的にどのようにお考えですか。


 説明と私たちの見解

 福祉・介護に関わる様々な団体が、2011年3月11日以後、全国から現地派遣者を募り宮城県、岩手県、福島県において被災地の支援活動を行ってまいりました。発災直後から高齢者や障がい者等の安否確認や介護、避難所や仮設住宅で生活している住民の生活課題や生活ニーズを聞き取り、行政やさまざまな社会資源等に繋ぐこと、また仮設住宅でのコミュニティ立ち上げなど長期にわたる支援を継続しています。しかし、生活再建や復興への心身および生活の支援は長期に及ぶため、民間団体を中心にした取り組みでは限界も生じています。

 今回の震災では、医療分野では医療従事者で構成されるD-MAT(災害医療派遣チーム)が機能しましたが、社会福祉の領域においてもこのような仕組みが不可欠であり、D-MATと連携して実施することにより、被災地における住民の生命と生活の確保が図られることになります。そのため、今後の災害に備えて『D-MATの福祉版』(福祉・介護専門職による生活支援チーム)の創設が必要であると考えています。


以上